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12月25日
先日、平成19年度の公認会計士試験の合格発表があった。 願書提出者20926人(うち受験者18220人) うち短答試験合格者6321人、論文試験受験者9026人、最終合格者4,041人である。 昨年の最終合格者は1372人なのでほぼ3倍の大量合格者である。 合格率は22%、実質的な論文試験後の合格率は44.7%にものぼる。 今後もこの合格者増は続くと思われるが、その背景はどうなっているのか? 一つには一連の不祥事による会計士パッシングに対応するための監査の厳格化がある。 企業の不正を見抜くためには大量の人材を投入しなければならず、会計士業界は人材不足となったのである。 ついで私見になるが、司法試験の急速な易化があろう。 会計士業界には文系の優秀な人材がみな著しく易しくなった司法試験に流れてしまうという危機感があったはずである。(あまりの司法試験の易化に、今年の女性合格者をはじめとして、年俸250万という暴落もあるという。 これではイソ弁もできない) この傾向が続くといったいどうなるのか? 一つは当然に想定できる品質の悪化であろう。 (旧司法試験組の合格者は優遇されていることからも想像がつくが) 私のような人品骨柄の正統派はまず影をひそめることとなろう。 そして、そのあおりをまともに食らうのは税理士業界である。 最終的に会計士人口は5万人とされ、これは税理士業界に匹敵する規模となる。 税務署退職者の第2の人生のための税理士業界はもはや風前の灯、噂では仕事にあぶれた司法試験合格者が税理士登録をして税務に進出という話さえ聞くのである。 いやはやいつになっても「昔はよかった」と回顧するのが業界のツネとはいえ安閑とはしておれないのである。 しかし、会計士の仕事は多岐に渡る。 ありとあらゆる経済場面に登場してくるのである。 若い人よまじめで尊敬される会計士を目指せ!! 私のような人財、いや人材いや人在いや人罪はごくごく例外である。
6月30日
4大監査法人に業務改善命令が出た。 すなわち、国内のほとんどすべての監査法人が対象というべきだろう。 新聞によると、監査法人の地方の事務所での品質管理等に問題があるとの指摘もなされているらしい。
すでに、何度も述べているように、地方の小規模監査法人や個人会計士は(ほとんどが日本系の監査法人出身者が多いはず)、これまでの国の主導のもとで4大法人化の流れの中、事実上その「籍」のみをビッグ4において、監査の中身は旧態依然の馴れ合いのままであろうということが、当然に想定できるから根は深い。 地方の会計士は、在籍しているビッグ4の名前を、ビッグ4は地方での監査の拠点作りと新規顧客の獲得という利害が一致したのである。
協会の研修会では最先端の会計処理や監査手法についての高度な講義もあるが、「倫理 リンリ」のお題目ばかりが強調される講義も多いが、これだけで話が終わるのなら簡単である。 ビッグエイト時代から始まった顧客獲得のための監査報酬のダンピング合戦は、外資系事務所においてさえ、監査時間を如何に合法的に、理論的に(かつ訴訟に耐えうるように)減少させるかの手法の開発にかかっていたと言えよう。 PCによる統計的データ処理が簡単になったことからも、回帰理論を駆使しての新しい監査プログラムによる省力化は、2次試験合格者の大幅増加政策とあいまって、高度な金融取引や会計の変革に追いついていかなかったのではなかろうか?
粉飾加担などで批判されるのは監査法人だけではないのかも知れまい。
6月11日
いよいよ中央青山監査法人が分裂する。 旧プライスウオーターハウス(PW)在籍者の一部が離脱してpwc(プライス・ウオーターハウス・クーパース)に移管するというもの。 不肖小生旧PWに在籍した経験からすると、不思議なことはまったくない。 もともと日系事務所と外資系事務所では監査の質が大きく異なっていたものが、お国の要請で内国法人とイヤイヤ合併しただけのことだから、ビッグエイト時代に戻りつつあると考えるのが自然であろう。 商法監査しか行っていなかった日系法人がSECファイリングのための監査ができるわけもなく、ペーパーをしっかり作成しようとも思わないと見るのが自然。 他の監査法人も然り、今後もこういった事件がおきると、旧外資系社員が脱退して分裂することも十分にありうるだろう。 これでビッグファイブに戻ることになる。
5月10日
昨日の中央青山の業務停止期間については急遽訂正しなければならない。1週間どころか1〜2ヶ月となりそうとの報道である。
担当した部門だけというのなら影響は最小限だろうが、全法人となるとオオゴトである。 金融庁もそこまでやるかとも思う。
しかし一方で、被監査会社のコメントもいかがなものかである。 ソニーのように一歩進んでディスクロージャーをおこなう模範的な企業もあれば、会長の就任祝いのご祝儀3千万円をよっこしていたとされるせこいトヨタなどがコメントしようとするのはなんともおこがましい。
中央青山から離れる関与先も出るだろうが、新たな監査の引受け先のBig3は、監査報酬を従来の2倍以上にして引受けて、徹底的に監査を行い、所属会計士の給与を大幅にアップすべきである。 給与が上がれば彼らの使命感も高まるであろう。
「監査時間はより短く、しかも監査報酬はムダ金だからできるだけ払いたくない。 お墨付きだけが欲しい。 株主等に対するディスクロージャーは最低限度で十分。」 多くのこんな考えを持つ会社の経営者たちが、会社の信頼性が落ちるので監査人を替えるなどと果たして広言できるのだろうか?
5月9日
本日、中央青山監査法人が金融庁からカネボウ事件の関係で業務停止命令をだされる見込みとなった。 まるでアイフルと同じである。 同法人の監査会社は5500社にものぼるために、諸般の影響を考慮して、業務の閑散時期に業務停止となるように調整されるらしい。 ことの重大さからしても、法人そのものの責任を問わないわけにもいかず、金融庁も難しいところだろう。 仮に1週間の業務停止とすると、正味5日間で、ほぼ100社分ほどの監査業務に影響が出る計算となる。 月の月末、月初は棚卸の立会いや現金実査という重要な監査手続きが行われるはずなので、この期間ではありえないし、近年は4半期報告書のための監査手続きも増加しているはず、こうなるといっそのこと、8月前半からお盆にかけて1週間の業務停止がベストだろう。 これなら、期間が長いほど職員会計士の家族も喜ぶし、不足した監査手続きは後の残業でカバーするなら、残業手当もついていいこと尽くめとなる。
しかし、この事件の本質は、なぜ粉飾を容認したかであり、業務停止や改善命令だけで済むほど簡単なものでないのである。 最大のポイントは、言葉は悪いがカネをもらっている得意客に引導を渡すことがそう簡単にできるか?、しかもその結果自分の仕事/利益も一気に減ってしまうのである。 会計士はカスミを食えとでも言うのか? 会計士の倫理感だけですむなら話は簡単である。 たとえば、社会保険診療報酬のように基金などの第三者に請求して間接的に負担してもらう、などの新たな方策が必要なのかもしれない。 税金として国が上場会社から徴収したものの中からもらうという選択肢もあるかもしれないが、本質的に国の介入を嫌う業界としてもムツカシイところだ。
国にたよると、会計検査院と似たようなものになり、税金のムダ使いとなるのは必死。 粉飾決算根絶の解決策への道は険しい。
2月25日
ライブドア関連で、粉飾とされるような問題点を指摘した関与会計士がいたにもかかわらず、「押し切られてしまい」、監査報告書には、他の会計士が適正である旨の署名をした、といった旨の記事が掲載されていた。
この時期、田舎会計事務所は、確定申告のための書類の準備で非常に多忙となる。 小生も調整に関与した確定申告書には「署名捺印」が求められる。
たとえどんなに少ない申告金額であっても、専門家としてのサインの重みは変わらないのである。 ホリエモンの不正に感ずきながらの、監査報告書へのサインをするときの気持ちはいったいどのようなものだったのか? その会計士は今度は、供述調書にサインすることになるのだろうか?
たしか、供述調書の末尾には、自署で氏名を記載するが、その名前に「印影がかさなるように」、印を押すのだと聞いたことがある。
だが、このトリビアだけは実際に体験したくないものだ。
1月26日
ホリエモンのせいで、またまた会計士の監査が問われることになってしまった。
それにしても、新聞紙上で見る限り、ライブドアは粉飾までやっていたことは確実で、カリスマどころか単なるサギ師だったとは、にわかには信じがたいほど悪質である。 堀江の行ったことは、光産業事件、リクルート事件とならび、東大がらみの歴史に残る経済事件になってしまった。
監査を行っている、港陽監査法人は会計士が10人ほどの少人数で、ライブドアグループが顧客の大半を占めているらしいから、財政的にもおんぶしていたのかもしれない。 しかも監査調書の書き換えまで行っていたのではとの報道もある。
監査調書(ワーキングペーパー)は公認会計士の調査内容を網羅的に記した最も重要な基本的書類である。まさに会計士の命と言っても良いだろう。
これがもし改ざんされたとなると、もはやコメントの仕様がない。
私が、初めて監査調書の現物を見たときは胸が躍った。 いったいどのようなことが書いてあるのか? まだすべて手書きの時代である。
まず、驚いたのは、監査調書が「鉛筆」で書かれていたのである。 会計士二次試験でさえボールペンだったというのにである。
しかし、実際に監査実務に従事すると、調書を鉛筆で書くことがすぐに理解できた。 時間的に決算の進行に合わせて監査調書を作り上げてゆくことも多く、しょっちゅう、訂正、数値の変更などがあるからであった。
しかし、事後において調書の内容を会社の求める決算内容のものに修正するなどと言うことがはたしてふつうの会計士にできることだろうか?
もし、新聞報道が正しければ、せめてこの事業年度だけ目をつぶれば、翌年からは多額の利益が出て粉飾の痕もなくなるし、自分の仕事も伸びてゆくからと悪魔に魂を売ったのかもしれない。
会計士が、会社の決算内容に「不適正」である等の監査意見を表明すると、その会社は上場廃止など「死に体」となるか、監査人の交代となり、どちらにしても会計士はその会社からその後の収入の道を閉ざされてしまう。
いわば自分で自分の糧食を絶つことになりかねないのである。
社会正義のために、会計士はこのような場合でも、高度な倫理観を持たねばならないのである。 すでに述べたことがあるが、会計士の顧客は企業ではなく国民だからである。 粉飾決算が問題になるとき、必ずこのような会計士のもつ職業の特殊性が浮き彫りになる。 カネを払う会社が本来の顧客ではないのである。 じゃあ、監査料を税金のようにいったん国が企業から集めておいて、監査法人は監査にかかった分だけ国に請求を出せばよいのではとか、監査をすべてローテーション方式にすべきであるとかの意見もある。
しかし、これらの方法では、自由主義社会の監査が結果として国の支配下に置かれることを意味し、かつての銀行のように、経済発展には足かせとなるというのである。
カネボウ粉飾事件以来、会計士の監査への世間の目は今までになく厳しくなってきているはず。 経済社会の正義の番人、公認会計士のつらい日はまだ続きそうだ。
11月10日
昨日、事務所に来年の給与所得者の年末調整に必要な「扶養控除等申告書」の用紙がどっさりと届いた。
今年と違うのは、「老年者控除」「配偶者特別控除」の欄が見当たらないこと。 定率減税がなくなってしまえばこの二つだけで、所得税をこれまで1円も払っていなかった人を含め、最低でも9万円弱、増税になってしまう。
これも、無党派層といわれるいわゆる「下流社会」に属するプータローが小泉に踊らされた結果の一つであろう。
自分たちを切り捨てる政策を打ち出している小泉にわざわざ自ら投票する「負け組」の人間はいったい何を考えているのか?そうか、何にも考えていないから、それでいいのか! 信ずるものは救われないのである。
そら見たことか、ざまあ見ろ! 自業自得とばっさり切り捨てたいところだが、我々は社会の中で生活している。ロビンソンクルーソーではないのだ。
所得の格差が大きくなると、社会は不安定になり、裕福な生活をしている「勝ち組」にもその影響は確実に及ぶ。(例えば、金持ちの子供の誘拐、防犯のためのコスト負担などの外部不経済)
先だって犯人が捕まったマブチモーターの事件被害者の身内が「なぜ狙われたのだろう」とコメントしていたが、そんなことは犯人の供述どおり、理由ははっきりしている! 不運なことに被害者がたまたま目に付いた「資産家」だったからである。
被害者には落ち度もまったくない。 小生の子供の時代にマブチモーターといえば、どんな模型にも使われていた。そういった意味で社会に貢献してきた尊敬すべき企業の経営者一族である。 それでも「格差」が表面化すると狂信的「負け組」は暴走することがあるのだ。
多少の格差があっても、人はそれを抵抗なく受け入れる。 しかし、あまりに大きな格差はたとえそれが作られたイメージであっても、反感しか生まないのだ。
宝石をジャラジャラ身に着けて「歩くウン億円」とかの女性を見ても、笑い飛ばせる人間ならいいが、マトモに自分との格差を考えて過激な行動に走ることしか頭に浮かばない連中が必ず生まれるのである。 でもやはり、できることなら「負け組」にはなりたくないないなあ。 一度は冷やかしに行ってみたいレクサス店にしても、とりあえず「店頭に乗り付けるにふさわしい車」をまず買ってからダナと考えて、もし今のマイカーで訪れて、店員にハナもひっかけられなかったらどうしょうと、いまだ市場調査に出かけることに踏ん切りがつかない小生など、まず襲われる心配などないか?
喜んでいいものやらどうか?
10月3日
逮捕されたカネボウの会計士は、前任者から引き継いだときに粉飾があったことが分かったが、粉飾が判明すると前任者が困るとか、関与先(=得意先)が失われてしまうといったことから、やむなく加担し行ったらしいことが分かった。
つまり、会社から監査報酬と言うカネをもらいながら、一方で粉飾を発見し、これを指摘することによって事実上会社に引導を渡すことができなかったらしい。
この監査対象となる会社から、監査報酬をもらうという一見不合理のようにも思える事実を指摘する人も多い。いまでも日本の会社にとっては、監査報酬は無駄な経費との認識が強いのだろうが、それは誤りである。
ちなみに、弁護士は正義の味方といわれるが、決して正義の味方ではなく、「依頼者の味方」であり、税理士は納税者の味方ではなく「適正な納税をするため」の存在である。 唯一、公認会計士のみが、投資者及び債権者の保護を図り「国民経済の健全な発展に寄与すること」を使命とする。 と明確に法で規定されている。
しかし、今回の事件でがっくり来ているのは、私だけではあるまい。 多くの会計士志望者の若い人たちもショックを受けていることだろう。
なんとかならんのか!
9月15日
公認会計士逮捕の衝撃
かつて小生が所属したことのあるプライスウォーターハウスの日本の監査部門である中央青山監査法人の公認会計士がカネボウの粉飾に加担したことで逮捕されたことは衝撃的であった。
小規模の監査法人の会計士が長年の付き合いのある会社の粉飾を見逃していたというのなら、さもありなん。との気がしないわけではないが、あまりにも巨大企業相手の犯罪に余計驚きである。
しかし、過去の私の経験からも、やはり当該会計士は日系の監査法人の出身と聞いて「やっぱりな」という気が多少しないわけでもない。
かつて、25年ほど前、外資系(おもに米国)の事務所と、日系(純粋日本人だけの事務所)ではいわゆる監査の質は極端に異なっていた気がする。
私は外資系のDH&S(デロイト・ハスキンズ・アンド・セルズ)に勤務していたのだが、仕事は監査のマニュアルが厳しく上司のチェックが二重になされ不足した監査手続きのさらなる再確認を求めるフォローアップという指示により、残業どころか、後日監査先に出向いての追加確認なども必要で残業など当たり前のハードワークが続いていた。
まさに不正発見どころか、会社の経理部門の人間より会社の内容に精通するのである。そのため、DH&Sは当時 Auditor's auditor 監査人の中の監査人とさえ豪語していたのである。 また、監査先の経理部職員とも、食事をおごってもらうことの無いように通達が出ているなど、独立性の維持に微塵も疑義が沸かないようにすべしといったところであったので、昼食も一膳飯屋で仲間と一緒と言った感じであった。
ところが、あるとき提携先の日系の監査法人の手伝いといった事で、日本の監査法人社員と一緒に日本の会社の監査に出かけたところ。「日系の監査は楽でグルメになるぞ」とのうわさには聞いていたのだがあまりのすごさに驚いたことがある。
日系監査法人の友人いわく、昼食の「すし、てんぷら、うなぎ」はもう食べ飽きて見たくもないとさえ言うのであったが、それ以上であった。
執務場所には、ずらりと会社のお偉方がいならび、私たちのすべてを監視する感じであり、まともに仕事なぞさせてもらえない雰囲気。 夕方5時前位には追い立てられるように仕事を終了し、立派な料亭に連れて行かれて見たこともないような豪華な食事で接待されたのである。
さらには宴会終了後に料亭から、黒塗りのハイヤーで、私の住む団地までの送り届け! 自宅の前まで乗り付けるのが恥ずかしくて、近くで降ろしてもらい放免してもらったことを覚えている。
生まれて初めての経験だった。これまでの私の住む世界とまったく違っていたのである。
あとにも先にも、これほど驚いたことはなかった。 しかし、日系の友人たちに聞くと、当時はそれこそ日常茶飯事、地方への出張があれば、高級料亭での食事どころか、観光の接待にお土産どっさりつきが当たり前だとの話もあったのである。
その後、国の方針で当時ビッグエイトと呼ばれていた外資系の監査法人と日系の監査法人が、相互に合併を繰り返し現在の4大監査法人へとなっているのであるが、その実態は、同じ法人の内部でも日系と外資系の部門では採用から始まって仕事のやり方も、ほとんど別法人と同じとの話も聞いているから、私が経験したことがいまだに残っている可能性もあるかもしれない。
そんなことから私は、今回のような粉飾に日系出身の監査法人の人間が絡むことがあっても、衝撃的ではあったが、それほど驚くことなどなかったのである。
したがって、良くも悪くも長い間続いてきた日本的な馴れ合いの体質がこの事件には内在していると思う。
中央青山監査法人は、この事件をきっかけに、米国のアーサーアンダーセン同様に消滅してしまうのだろうか?今後が非常に気になる。
今でも日系の会計士には、接待漬けなどの慣習があるのだろうか?まさか! 今の若い会計士にはそんなことは断じてあるまい。
私も、この事件を他山の石として、独立性の保持に一瞬の揺らぎも無いようにせねばと、あらためて振り返っている。
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