【 澱粉の構造および物性 】
澱粉粒はその植物の種類により大きさ、形状、形成核の位置が異なる。澱粉粒は結晶構造を持ち光学的に異方体で、偏光顕微鏡で見ると複屈折性があり、粒の形成核で交差する偏光十字が出る。
当社(神野でんぷん工場)の偏光顕微鏡で観察すると、片栗澱粉粒およびジャガイモ(紅丸)澱粉粒共に偏光十字が見られたが、粒の大きさはジャガイモ澱粉粒の方が明らかに大きかった。
また、澱粉の粘度特性変化をBrabender社のアミログラフ(試料を一定の角速度で撹拌し、加熱・冷却しながら粘度の変化を測定する装置)で測定した。すると片栗澱粉は81℃付近から温度上昇に伴い粘度も徐々に上昇を続けるのに対し、ジャガイモ澱粉の粘度は64℃付近から急激に上昇し、80℃付近での最高粘度に達した後は下降する。
以上のように粒の大きさ、粘度特性から見る限り、片栗澱粉とジャガイモ澱粉ではその性質に違いが見られる。
それらの違いがあるにも関わらず、ジャガイモ澱粉が片栗澱粉に取って代わった(片栗粉と呼ばれるようになった)経緯については今後も調査を続けて行きたいと思う。
参考文献 : 澱粉科学ハンドブック(朝倉書店)
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