
「サル食」でいいのか私たちは世界の長寿地帯を何箇所も訪れ、「食べ物」に関しその理由を探ろうとしました。 いくつかその理由になりそうなものを考え、すべての長寿地帯で食べられているものに絞ることにして、現地で調査するという方法をとりました。 コーカサス地方のヨーグルトなどの乳製品は有名です。 しかし、ホータン、フンザ、ビルカバンバでは、乳製品は決して一般的ではないのです。 長寿の条件は、おそらく何か一つではないはずです。 きっと、いくつもの条件が重なって複合的な結果として長寿になるはずです。 中には地域によっては、ある条件がずば抜けて高スコアというものもあって、われわれの目を霍乱しているかもしれません。 たとえば、フンザは標高2500メートル、酸素はかなり薄めです。 この高地に生きるためには心肺機能はいやでも強められるでしょう。 長生きに寄与することは間違いありません。 しかし、太古の昔の海だったタクラマカン砂漠は海抜がマイナスのところもある。 そんな砂漠のオアシス町ホータンにも100歳老人はうじゃうじゃいるのです。 それらの生活全般の中で、生きるために欠かせないもの「食べ物」についてのみ共通項を探ろう、と思ったのです。 長寿地帯の「食べ物」で、すべての地域で食べられ、日本でも容易に食べれるものが分かるなら、長寿に寄与できるはずです。 私たちの結論として、豊富な果物や生野菜ではないかとなりました。 いずれの土地も特産の果物やナッツ、野菜があります。 ビルカバンバはバナナやトマト、 ホータンは豊富なブドウ、ハミ瓜」、スイカ コーカサスはりんご、ブドウ、さくらんぼ、 フンザはアンズ、プラム、アーモンド 確かに、生野菜や果物ばかりで健康になれるという健康法も、アメリカにはあるにはあります。 「ナチュラル・ジーン」という運動で、人間の原点は「サル」だとして、サルの食べるこれら野菜と果物を食事の中心にすることで、無理なく健康になれるという説があります。 遺伝子的にはヒトとチンパンジーでは98%以上が合致するそうですが、私たちは「サル食」を食べればそれで健康、長寿になれるのでしょうか。 長寿地帯はどこも概して日本よりも温暖です。 確かに果物の種類や取れる期間も日本よりは長いようです。 しかし、冬がないわけではありません。 それらの土地では果物をドライにするという方法で、冬場の食料にしていました。 その上、まったく動物性の食べ物を食べないのかというと、決してそうじゃありません。 特に植物性の不足する冬場は大方の地域では肉を結構食べています。 フンザは非常に特異的です。 夏の期間は野菜と果物中心で、穀類はほんの少し。肉はまったく食べません。 ところが穀類は野菜や果物のない冬場のための食料でしたし、冬至から春分までは一人1日200グラムで計算して保存した肉を毎日食べていました。 どうやら、サル族は果物や野菜を保存する知恵や、肉を食べる消化能力を持ち合わせなかったので、一年中果物と葉っぱのある熱帯に生息が限定されたようです。 ヒトは増え続け、その生息域を拡大する必要があり、ほんの少し持ち合わせていた雑食性の能力を、どんどん発達させて寒冷地にまで広がったもののようです。 草食動物が餌にしていた小麦、実はこのままでは人間の消化能力では食べれないため、粉にすることを覚え、水車や風車を利用するため、歯車が考案されて、機械文明が開花したといわれます。 サルとヒトとの2%弱の遺伝子の違いは決して小さいものとは思えないのです。
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