オーナーの思い

糸紡ぎをする人達の農場
スピナーズファーム・タナカ
田中 忠二さん(Chuji Tanaka)

1936年生まれ
出身地:北海道・池田町

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のんちゃんレポ
 十勝ワインで有名な池田町の「スピナーズファーム・タナカ」さんにやって参りました。ズバリお聞きします。“田中さんにとって羊とはなんですか?”
「癒しでしょうな。羊を見て腹を立てる人はいないでしょう。草原の中の羊を見ているとイヤなことなんて忘れてしまいます。」そうですよね。羊を見ていると、まさにあの羊毛のようなフワフワと暖かい気持ちになります。

定年後に叶えた夢〜スピナーズファームはじめて物語〜
 
最初は自らの癒しと言うのかな、そんな感じで飼い始めたんですよ。小さい頃から羊は身近な存在でしたし飼い方も知っていました。そして何よりも愛らしい。飼っていたら羊毛を生産するばかりではなく、羊毛から作品を作って皆で楽しもうということで工房を建て、このスピナーズファームをスタートさせたのです。
 それから、だんだんと周りに人が集まって来て、糸の紡ぎ方を教えてほしい、織物の講習会を開いてほしいというような要望が強く出されるようになりましてね。糸紡ぎをしたり、それで帽子を作ったり。それが出来上がったときの喜びや感動を皆さんが感じてくれますね。それに、草地の中にいる羊たちを見ると心が和むんですよ。羊を眺めて皆さんゆっくりと時間を過ごされますね。そうこうする内に、体験や見学が皆さんの役に立つものなのだなぁと感じ、そんな素晴らしいことならと、周りの要望に応えていく形で半ば自然に羊毛工芸体験を受け入れるファームを営むようになったのですよ。


自然と産業そして文化
 ここで羊飼いをしようと思ったのは、定年を5,6年後に控えた頃で、定年を迎えたら何をやろうかと考え始めていたんですよ。僕は大学で「自然と産業」というのを専攻していたんです。もともと旅行が大好きで、自然と産業、それをもとにした文化ということに興味があったんです。そこで、ここの土地にある自然と産業にぴったり来ることはないかとずっと考えていたわけですよ。
 結論として、十勝の気候によくあった羊が良いだろうと考えたんです。十勝は、空気が乾燥していて日本で一番日照時間が多く、その気候は羊にたいへん良い条件ですし、私自身が羊が好きだということもありました。
 昔、うちは畑作農家で羊を飼っていたんです。羊の毛で糸を紡ぎ、手袋やセーターを作って身にまとったり、肉として食べたりと生活の一部でした。昔、大体の家は何かしらの生き物を飼って生活していて、羊だの鶏だのを自家用に飼っていて、とても親しみを持って接していたんです。
そんな羊を第2の人生のパートナーに選んだというわけです。


羊毛の文化的利用
 
私羊を飼うのならと、サラリーマン時代から仕事の休みの日には糸紡ぎの講習会にあちこち参加したり、織物の勉強をしたりしていました。やがて、羊飼いとしての新たな一歩を踏み出したわけですが、最初は色々、試行錯誤を繰り返していました。
 うちの牧場は羊牧場の中でもちょっと珍しい、羊毛をとるための羊を飼っていますから羊毛が綺麗な状態で取れるように餌のやり方を工夫したり、お互いの毛がすれないように広い場所で飼ったり、ストレスを与えない工夫をしたりしています。取れた羊毛は、毎年神奈川で行われていたイベントで何度もグランプリに選ばれています。うちの羊毛の質の良さが認められてうれしい限りです。

【奥さん】
 ここは家族で経営しているものですから受け入れられる人数は限られますが、年々お客様は増えて、団体客も多くなりました。このファームを始めて以来、お客様に喜んでいただいていますから大変でも辞められません。
 お客様が多く来て下さるようになると、羊毛加工をする広い場所が必要になりますから、マンサード造りの羊舎2階で一度に定員40人程度体験していただけるように用意しています。実際に家族だけでは対応しきれない場合には、回りの人に応援を頼んで手伝ってもらったりしています。体験を通して多くの人に感動をお持ち帰りいただきたいと思います。また、それが私たちの喜びにもなります。


ウールの違い、分かりますか?
 現在、ここでは、11種類70頭前後の羊を飼育しています。
イギリスのカラードシープ(有色羊)国際会議に出席し、その黒や茶のナチュラルカラーの魅力に触れてカラードシープを大幅に増やして、今では全体の半分ぐらいがカラードシープです。

 うちの羊毛は、お送りする場合は原毛のままお届けします。人によっては羊毛加工するとき洗毛からこだわる人も多く、使い方によっては洗わずにそのまま使ったりするなど、作る作品によって扱いが変わってくるからです。
 羊毛の種類はバラエティに富んでいて、弾力のある毛、肌触りの良い毛、しっかりした硬い毛など織るものに合わせて使い分けます。

 うちにはシェットランドという種類の羊がいて、日本国内で飼われているこの品種の羊の半数がここにいます。この羊はたいへん細い糸を紡ぐことができるんです。シェットランドレースってご存知ですか?あれはこの羊の毛を原毛のまま紡いで編むもので、他の羊の毛では無理なのですよ。珍しいこともあってホームページに載せるとすぐにオーナーが決まるような状況です。


羊に見習う社会教育?
 いろんな種類を一緒に飼って喧嘩しないかって?しない、しない。仲良くやっていますよ。ちゃんとした羊社会が出来ているのでしょうね。例えば羊はルールの分からない子羊がはみ出すと、親でなく回りの大人たちが子羊を叱るんです。子羊が叱られても親はかばったりしません。悪いことをしたと子羊が分かるまで徹底的にやります。今の日本人とはえらい違いですが、それで羊たちはしっかりしたルールの下で穏やかに生活をしているんです。


皆で楽しむファームに
 多くの人が羊に親しみ、羊毛を広く活用する目的で「ウールチャレンジin十勝」を2000年から開催しています。羊毛の早紡ぎ早編み競技・シープドックショー・毛刈り体験や羊毛加工体験など全道各地からの参加も多くイベントとして定着しつつあります。

 私の紡いだ糸を使って作品を作ったり、自分で紡ぐところから習ったり、やりたいことは皆さんそれぞれです。長い時間をかけて製作に通う方もいます。“ベテランから初心者まで楽しく利用できる”をモットーにやっています。
作業の合間に窓辺から羊を眺めるのも素敵なひと時ですよ。皆さん一人一人の楽しみ方を見つけてください。
私達家族が真心込めてお迎えしますので気軽に訪れてくださいね。


 
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