オーナーの思い

環境をわたしたちが守るとするならば何が出来るのかを考えたい
ひがし大雪博物館
川辺 百樹さん(Momoki Kawabe)

年齢 才
出身地:
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のんちゃんレポ
 上士幌町にある「ひがし大雪博物館」は昭和45年「北海道百年事業」で造られた施設。学芸員の川辺さんはほがし大雪博物館に勤務する傍ら、大雪山系の森づくりを考える「十勝三股森づくり21」という活動組織を結成しており、春から秋までの週末は森の中で過ごすことも多いそう。

個性ある博物館づくりがモットー蝶の標本は国内有数の内容です
 生き物のこと、生い立ちのことなど大雪山系に関するの一連の情報を提供しています。少し変わった展示もしているんですよ。それは『蝶』。この地域に生息している蝶のほか、世界各国の蝶、特に熱帯地域、アジア、南アメリカの昆虫を多く展示しています。これは博物館の個性を持たせ、人を惹き付ける魅力的な博物館にしたいという地域の願いから、昆虫をクローズアップした結果です。博物館建設の頃、日本でも指折りのコレクターが北海道にいたことも手伝って、珍しい蝶が見られる現在の展示構成になったんです。地域の自然の紹介が基本的なコンセプトですが、大雪山系を理解する上での基本的な知識・情報を提供し、歴史遺産や自然環境を保護するために必要な情報を提供することがこの博物館の使命と考えています。


自然が豊か、自然がいっぱい、緑の広がる景色は何? 畑?!
  北海道は「自然が豊富」、「自然がいっぱい」というキャッチフレーズを観光のPRでもよく見かけますが、それはうわべから見た自然のことを指していると私は思います。現状はそうではありません。世界規模の自然再生事業が「ここ北海道」で行われているということは、自然が傷つき失われたからにほかなりません。なぜ、“自然がいっぱい”と言われる北海道で自然再生が行われるのか、その現実こそ見てほしいと思います。ちなみに世界的な注目を集めて行っている自然再生事業の場所は“釧路湿原”です。

 そして「北海道は自然がいっぱい」という表現はどこまでしっかりした根拠に基づいているのかを認識し、検証していく必要があるのではないでしょうか。例えば、今見えている「緑」は何の緑なのか。森なのか畑なのかそれともさらに違うものなのかを考えてみるのもいいでしょう。研究者の多くが自然の現状に危機感を持っていますが、市民の認識はまちまちです。市民一人一人が、本当はどうなのかと考えることが、今必要なのだろうと思います。


北海道開拓から今日に至るまで?自然の変容をしっかり受け止める
 北海道では開拓時代から、魚を捕る、木を伐る、川をせき止めるなど、自然から一方的に取ってきました。和人が入植してからたかだか100年余り、地球や自然の時間からみればほんの短い期間で元来の自然を変容させました。世界でも例を見ないほどです。

 21世紀は環境の時代と言われています。物質的豊かさを求めてがむしゃらに突き進んできました。今は豊かさを手にし、自らを顧みるゆとりも出来てきたのではないでしょうか。精神的にも豊かに生きるために、これだけ自然を傷めてしまった現実を受け止め、こういう傷め方はしない方が良いということを認識することが必要だと感じています。今こそきちんと自然を「見直す」こと、地域の元来の自然を残し取り戻していくことが重要ではないでしょうか。

 博物館では、そのような問いかけに答えられる展示を心がけています。この大雪山国立公園をより深く知って頂き、人と自然の共生のあり方を考えてみる機会にして頂ければうれしいですね。


森林があることの、ありがたさ・不思議さ・いとおしさ
 森林はどういう仕組みで森林であり続けているのか考えてみたことがありますか?

 森林は人間社会と時間の尺度が違います。人は生まれてからこの世を去るまで7,80年で、成人してから森林を見続けていっても、せいぜい50年という単位ですね。それに対して森林を構成する樹木はもっともっと長いスケールで変化し、世代交代を繰り返しています。逆に短いものもたくさんありますけれどもね。何百年も生きたお母さんの樹があって、その子供の樹もまた何百年も生きるんです。その命の証を、木材として我々は利用しているのです。森林が跡継ぎをつくるのはなかなか難しいことです。そこには、巧みな生き残り戦略やわずかなチャンスを生かす生き物の知恵が無数に存在するのです。全てが解明されているわけではありませんが、森林がどういうしくみで変化していくのかを理解するためには、まず森に思いを寄せることから始まります。人間が自然を守る上でも重要な知識の一つとも言えるかもしれません。



 
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