オーナーの思い

 夢はこの自然を守り抜くこと
温泉民宿 山湖荘
蟹谷 吉弘(Yoshihiro Kaniya)さん

1962年生
出身地:北海道上士幌町糠平

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のんちゃんレポ
 うわぁ、なんて懐かしいんでしょ、この囲炉裏。と思わず声を上げてしまったのは、上士幌町の山の麓、糠平湖温泉街にある山湖荘。
 糠平ダムの建設や無尽蔵とさえ思われた造材景気に沸いた昔日の面影は、街の随所に残る近代化遺産に見ることができます。山間の小ぢんまりしたお宿の中には、昭和の香りがするコレクションがいっぱい置かれてタイムスリップした気分。夏だから火は入っていないけれど、雰囲気たっぷりの囲炉裏を前に優しそうなご主人にお話を伺いました。

「三代続いて生粋の糠平ッ子です」
 
かれこれ半世紀ほどの昔、糠平のダム景気の頃ですね。昭和30年にダムが供用開始になったんですけど、当時大勢の人が糠平に集まってきました。その時、私の祖父が料亭の暖簾を掲げにこの土地に入ってきたんです。ダム建設も終わり、国が持っている土地を払い下げる時に買った土地がこの場所だったのです。この土地は温泉が出ていまして、料理を提供できることから、温泉宿「山湖荘」として昭和35年に創業しまして、私で3代目になります。
 ここは、ちょっと珍しい“洞窟風呂”が有りますが、もとからあったわけではありません。ここが建てられた当時は混浴が当たり前の時代でしたし、とは言っても女性のお客様はほとんどいらっしゃいませんので、女性用のお風呂もあるにはあったんですがお飾り程度のものだったんですよ。時代が流れて、女性のお客様が徐々に増えてきたので男湯と女湯を取り替えればいいという訳にもいかず、露天を造ろうにも余分な土地も無かったんです。もともと地下にあった、それまでの風呂をお客様に一番良い状態で提供するにはどうしたらよいかと考えた時に洞窟風呂を造るアイデアが湧いたのです。
道内ではこのような洞窟風呂が少ないこともあって、今ではすっかりここの顔として定着しましたが、苦心した甲斐あって、皆さんに喜んでいただけて良かったと思っています。



「ひなびた温泉街の歩き方」
 宿の下を流れるのは音更川ですが、上には天の川が流れています。街の光が少ないこの土地ならではの楽しみの一つではないでしょうか。そしてとても静かなんです。
私は仕事が終わった後、もっと暗い静かな場所に行ったりします。静かな場所でフクロウの「ホーホッホー」といった鳴き声や綺麗な星空を眺めていると疲れていてもとても癒されます。
世の中の観光地が、どんどん大型化している中で、その波に乗らなかったのか乗り遅れたのか、ここは小さな旅館やホテルが頑張る温泉街として残ってきました。これは、良くもあり悪くもあるところですが、田舎はやはり不便なところかもしれません。でも便利なものは都会に行けばいくらでもあるわけですから、田舎でしか味わえないものを楽しんでいってもらいたいと思います。

 ないといえば信号がありません。ここから更に北へ向かう国道273号線。手前の上士幌市街を出てから層雲峡まで約100kmの間には信号がありません。周りの景色を楽しみながらゆっくりドライブするには最適ですね。ただし、スピードの出しすぎとエゾシカには要注意ですよ。

そろそろ、ルピナスが咲く時期ですし、山登りにも最適な時期を迎えます。糠平の周りには東大雪の名山や秘湯がたくさんあります。



「温泉豆腐はいかが」〜この地域は自然の恩恵をうけて〜
 この温泉は飲用として保健所のお墨付きももらっていましてね。お食事には温泉豆腐をお出ししています。飲用温泉「紅葉の湯」で茹でた湯豆腐です。無味無臭の炭酸水素塩泉の泉質が豆腐のたんぱく質を溶かし、とてもやわらかく滑らかな豆腐にしてくれます。最後にたれを温泉で割って飲むとまた格別です。美人の湯の炭酸水素塩泉で、体の中と外からきれいになりませんか。

他にも、ヤマベの塩焼きや地元の山菜をふんだんに使った土地の味を大事にした食事を提供しています。

 この地域の住人のほとんどは2代目か3代目で、小さな頃からここで生活しているので、自然のありがたさや自然に生かされているということをみんな肌で知っているんですよね。上流域に住んでいる者としては、この自然を大切に守っていかなければいけないと日々思っています。自然の存在を通じてここの良さを人々に分かってもらうのもその一つだと思います。



「お客様に楽しい時間を」
 母の日から父の日の間「親孝行プラン」という企画を用意しています。楽しいひと時を過ごせたとお客様に喜んでいただく、この場所を気に入っていただけることが、この仕事をしている者にとって一番の報酬です。

 古い建物ですが、お客様にはゆっくりのんびりしていただきたいと思います。
うちの洞窟風呂の入り方を一つご紹介しましょう。温泉に浸かって「あ゛〜」と息を吐いてみてください。日ごろの疲れやストレスが一緒に抜けていくのが体感できますよ。


【満天の星空を仰ごう計画】
 糠平は普段から天の川が見えると言いました。いつか1日の15分でもいいから糠平の明かりを全て消して、満天の星空を眺めたりフクロウの鳴き声に耳を傾けたり自然を堪能してもらう企画を実施できたらいいなと思っています。

 森と湖と、開拓を支えた街の哀愁が魅力の糠平にはそんな楽しみ方もいいですよね。澄んだ空気と温泉で“静かな休日”の贅沢を味わってみてはいかがですか。



 
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