地盤調査
軟弱地盤に対する対処方法としては、一般的に次のようなものがあります。 1.基礎の強化 軟弱の程度がそれ程悪くなく、建物も木造などのように軽い場合は、基礎の鉄筋を増加したり、基礎長さを増やしたり、フーチング幅を広くしたりする事で対処できる場合があります。 2.ベタ基礎の採用 軟弱層が深い場合でも、建物が木造や軽量鉄骨などのように比較的軽い場合は、建物下全体をコンクリート盤で連結し荷重を分散させるベタ基礎が有効です。但し、ベタ基礎は支配面積が大きいため、荷重が広く深くまで伝わりますので、軟弱層の厚さやその程度によっては返って沈下を助長する場合がありますので注意が必要です。 3.表層地盤改良 ダンプカーがそのまま軟弱地盤の上を走りますと、すぐにタイヤが埋まってしまって走れなくなりますが、鉄板を敷いたり、砂利を敷きますと自由に走る事が出来ます。これは鉄板や砂利が重い荷重を拡散するために単位面積当りの荷重が小さくなり、軟弱地盤でも支えられるようになるためです。 この原理と同じように、軟弱地盤の表面に硬い人口地層を作ることで荷重を拡散して建物を支えるのが表層地盤改良です。 但し、腐植土やピート層なと゜の酸性土質では、硬化が不充分になったり、大量の固化材を使わなければならないため高価になったりしますので、土質による選定が必要です。 4.圧密工法 (ND工法) 表層改良と深層改良の中間的な工法で、軟弱地盤に山砂等の改良材を高圧力で押込み、軟弱地盤の元凶である水分を押出す事によって、適度な含水比を持つ良好な地層に変えてしまう工法です。 表層改良と同じく支持杭ではありませんから、経年変化のうちに多少の沈下は想定されますが、その沈下も極少量で、地盤と建物が一体になって沈下しますので有害な不同沈下になることが少なく、埋設管を破断させることもなく、地震時には免震効果を発揮する事が先の阪神大震災において確認されました。また、薬剤を使用しないため、地下水汚染の心配も無く、他の改良工法に比べ安価に施工出来るなどの特徴があります。 但し、土壌水分の圧密には数日から数週間かかりますので工期の設定には配慮が必要です。また、N値が1以下の極端に含水率が高い場合や改良範囲内の地下水が流れているような場合には圧密効果が不十分になる場合がありますので注意が必要です。 5.柱状改良工法 (DMC工法) 軟弱層が厚く支持杭ではコストが掛かりすぎたり、建物が中高層で表層改良や圧密工法では支持しきれない場合などに適しています。攪拌機で軟弱地盤と固化材を混ぜ合わせ、地中にソイルセメントコラムを造成して構築物を支える湿式工法と、オーガーで軟弱層を究孔し、砂と固化材を混ぜた空練モルタルを圧入して、地中にドライモルタルコラムを造成する乾式工法(DMC工法)があります。これらのコラムは摩擦抵抗が大きいため、相当の軟弱地盤でも比較的短い改良体で必要強度を出すことが出来ます。 但し、前記と同様地下水に流れのあるような場所には使用できませんし、 また、湿式工法の場合は土質が酸性の時(腐植土等)固化材のアルカリと中和して硬化不良を起こしたり、品質管理が極めて難しく改良体の成形を確認できないなどの欠点があります。(DMC工法は湿式工法の欠点を補うために考案された工法です) 6.薬液注入工法 軟弱地盤に特殊な薬液を注入し、軟弱地盤を固化させて改良する工法です。 配合及び薬液の種類を換えることによりあらゆる土質に対応できます。 また、既設の建物にも対応が可能で不同沈下の建物の沈下抑制にも利用されます。 但し、薬液が高価なため改良工法の中では費用のかかる工法といえます。 7.杭打工法 施工実績も多く中高層建物に最も一般的に使用されている工法でコンクリート系と鋼管系の杭があります。 なお、支持層(N値10以上を支持層という)が深い場合は極めて高価になりますし、表層部分の地質が緩い場合などは地震力により杭頭部破壊を起こしたり、建物は杭で沈下しないが周りの地盤が沈下するため外部からの給配水管が切断されたり、ネガティブフリクションにより経年変化の中で土中で杭体が破壊されたりなどの現象がでる場合があります。更に近年安価なRC杭を住宅建築に使用する場合が多くなりましたが、RC杭は曲げ応力に弱いため10m以上のRC杭の使用は危険です。 |